ブログ 美術 ワークショップ

▼2011-08-10 10:55
豊橋市美術博物館「素材の冒険」展 ワークショップ

昨日、豊橋市美術博物館「素材の冒険」展の、夏休みワークショップ「土の色で遊ぼう」を無事終了。豊橋公園で土を採取し、顔を描いた。
 多くの人は土は自然のなかどこにでもあると考えている。もちろん、どこにでもある。しかし、水に恵まれた日本では、土は露出してもすぐに草木で被われてしまう。土が露出した所とは、、実は自然が破壊された現場なのだ。希望の土を手に入れるのはそう簡単ではない。それを人に例えれば、事故にあい、皮膚が敗れて出血し、肉が露出した状態である。そのことを知ったのは土で制作し始めてすぐだった。
 人が生活し、活動が繰り返された土地は、土が混ぜ合わされ本来の色ではない。豊橋公園は、吉田城や市庁舎そして動物園と、永年使用されて来た場所だ。果たして、希望通りの採取が可能か心配したが、子供たちは想像以上に順応できていた。
 気がついたことをいくつか。
 最も問題なのは、一組の親子。いや一人の母親。最初から最後まで子供に付きっきりで世話し、絵を描くことまで手を出す始末。
 仲良し友達との参加、描く絵まで影響しあってそっくりになっていた。絵を描くことは、個の反映なのだが、小学生にして、個の主張と友情は両立しないと無意識に感じ取っているのだろう。
 たかが絵、されど絵である。絵を描くこと、それは処世術でも、錬金術でもない。自我の確立こそが「描く」ことの本質なのだが。
 参加者は小学生30人。おおむね自らの意志で頑張って描いていた。それは救いだった。
 子供たちは塗りにくい土を必死で画用紙にこすりつけていた。その必死さが実は「何かを生み出す」のだ。これは、塗りやすく調整された既製の絵の具からはけして生まれない。生み出された「何か」から真理を見つけ出す。それが「美術」なのだ。
 心配していた漫画の影響はたった一人。これも土という描きにくい画材ゆえだろう。



終了して子供たちと記念撮影。作品はしばらく美術館に飾られる。


▼2013-01-07 11:01
愛知県児童総合センター ワークショップ

あけましておめでとうございます。
昨年は28日に仕事納め、それから、一夜明けて29日から、熱を出し、
とうとう、正月3日まで下がらず。一歩も外に出れず、正真正銘の寝正月を過ごしてしまった。
 4日は一日静養。5日は朝から、長久手の愛知県児童総合センター(ACC)で子供たちへのワークショップ。2013年の仕事初めだ。
 企画のタイトルは「もじ・もじ ファクトリー」。文字をテーマに子供たちと、さまざまな遊びを体験しようという試みだ。ここACCではこれまで、こどもに媚びないさまざまな試みを実践、全国のこどもも施設の先駆的なスタンスで知られている。
 会場に展示されている、こどもたちの文字の遊びの結果はこどもたちだけでなく、大人はもちろん、私のような、その道の一応プロの端くれにも十分刺激に満ちあふれ、そこらの画廊で開かれる、デザイン展など比較にならない面白さだった。こどもだけでなく、プロの作家たちにも見てもらいたい展示だ。









左より、あいうえの本:ひらがな一文字を自由に書いた(描いた)本。もじ虫:粘土でつくるもじの形をした虫たち。もじもじファクトリーポスター:さまざまな素材を貼付けて作った文字を判にしている。読めない文字:文字のような形を作って、伝えられないことを伝える。





FONT1000の作品も会場に並んでいる。センターのあちこちに貼られた、FONT1000のフォントの「も」の字探し。
 いよいよ私のワークショップ「かきぞめ」。用意した5つのパターンと白と黒の紙。合わせて7種類を組み合わせ、新年らしい言葉を作る。



パターンは一辺20cm、予想はしていたが、それ以上に大きな文字になっていく。





それぞれが、面白い文字を作っていく。



広い会場、一杯に書き初めを展示して無事終了。年の初めらしい、楽しい体験をさせてもらいました。今年一年も、楽しく過ごしたいものです。


▼2014-09-12 17:15ハ
名古屋金山 金山ぐるりタイムトンネル ワークショップ

一ヶ月ほど前になるが、金山ぐるりタイムトンネルという、子供向きのワークショップに参加した。
 江戸の文化がテーマだった、私は和算や算額絵馬を素材にして、算数の教科書を描くという、ワークショップを開いた。大きな和紙に、数学の数式のようなものを、自由に子供たちに描いてもらった。子供たちはさすがに素晴らしい、このまま素直に育っていくことを願う。







午後からは和紙の下敷きにしたベニヤ板を使用して、昼休みに街で集めてきた、印刷物をコラージュして、白の水性ペイントと墨とコンテで描く。



写真は最後にまとめたもの、これはこれで良いのだろうが、白の水性ペイントと筆の使用はなかなか難しいと感じた、コンテに比べ抵抗がなく自由に描けることが、はたして、結果の自由さに結びつくのか。子供たちにはどの素材が相応しいのか。この問題は我々にも共通する課題である。
 もう一つの課題は、このワークショップへの参加は、事前申し込みで定員20名で締め切られた。ところが、当日、その内8名が不参加だった。ベニヤも和紙も、墨・絵の具・筆・その他もろもろを、企画者が人数分用意してあるのだ。
 アートにもっとも重要なのは自由なのだが、当然、その自由は無制限ではない、当たり前のエチケットがある。その話をその後、友人の建築家に話したところ、名古屋では、当日、出席か否かは別に、とりあえず、申し込み、当日、自らの都合で判断するのが、名古屋スタンダードなのだという。それが本当ならば恐ろしい、不参加の子供たちは、そのことの異常さを知らぬまま、名古屋人になっていくということだ。


▼2015-03-02 11:31
愛知県陶磁美術館 愛知ノート展 ワークショップ

土で描くワークショップ。朝からあいにくの雨。昨日の茶会は雨でもよかったのに、私はやはり雨男かと思ったが、不思議不思議。土を採取している間だけ雨がやんでくれた。美術館の進入路の斜面に、参加者20名が一列にならび土を採取。



会場に戻り、作品と絵の具について少し解説。



採ってきた土に木工用ボンドを混ぜ絵の具を作る。



完成した絵の具一列に並べると色の違いが分かる。



採取した地層の順に一斉にペインティングの開始。





完成



乾性油で練れば油絵となり、膠で練れば日本画や書となること。絵の具というものは、画材屋さんで買うだけでなく、気がつけば周辺にあるあらゆるものが、色彩を持ち、美術の素材になること。そして、自然というものは本当に美しいものだということがすこしでも体験していただけたのなら、少しは意義のあるワークショップだったと思えます。